嫌われ松子の一生 [図書館]
本や映画の話は別のブログで書いていたのだけど、あちこち面倒になってきた。実名で書いても問題ないこと?!はこっちで書くことにしよう。
- 作者: 山田 宗樹 主人公、松子の一生が、本人の語りに
- 出版社/メーカー: 幻冬舎 よって、時間軸に沿って進む。
- 発売日: 2004/08 それと交互に、松子と関わった人々が
- メディア: 文庫 もう一人の語り手を通じて松子をひもとく。
両者がシンクロする瞬間を目指して、一気に読み進んだ。これは手法の勝利。ドラマティックでもあるし、映画化されるのも解る。
が、何だか聞いたことある様な話をくっつけているだけじゃないか?結局何がいいたいんだ?とも思う。松子は、自分の人生を切り開く能力がある。でも、それは誰かに認めたいから。動機は何でもいいのだが、人にすがってしまう体質のために、結局は人に振り回され、自分を見失い、突き落とされていく。我に戻る時もあるのに、長続きしない。たぶん、あの名刺を見つけても、同じ事が繰り返されるだけじゃないかな。理不尽な不幸物語ではなく、なるべくしてなった不幸だと思う。
批判的に書いてしまったが、多くのブログで取り上げられている模様。話題性はアリ。
この本を読んでて、「顔」という映画を思い出した。好きな映画の一つだ。実話をベースにしているが、大いにデフォルメされているだろう。私が感じたのは、人間の生きる事への執着。引きこもりがちだった女性が家族を殺し逃亡生活を続ける。閉鎖空間から、逃亡生活。同じように日の当たらない暮らしなのに、その中で自分が解放され、人間味を帯び、確固たる意志を持って決死で逃げ回る。これが人間の姿だと思った。
では松子は?自殺しきれず、生きていたいと思う自分に気づくも、彼女が執着していたのは誰かに認められる自分であって、自分自身ではない。それが証拠に、人と関わり合わない最後の10年、彼女は存在しない。つまり他人を通してのみ自己が存在するということ。その意味では、他人が語ることで松子の一生をを補完するという手法は正しいかもしれない。
好きなこと書いてますが、ほかの方はどう思ってんだろう?
by かっぱ (2005-08-28 00:01)