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Hydro Change 08 & 陸水学会 [研究室]

フロリダ州立大学での在外研究の一部として、日本で開催された国際シンポジウムHydro Change 08と日本陸水学会に出席しました。

Hydro Change 08は地球全体の水循環に関する国際シンポジウムで、昨年まで私やFSUのB教授(私の滞在先)が参加していた黄河プロジェクトに関係して、総合地球環境学研究所がホストとなり開催されました。ヘッド・ウォーターから海水まで、地表(地下を含む)での水の生活史をたどるスケールの大きなシンポジウムです。
私は、黄河プロジェクトでの最終成果を発表してきました。簡単に内容を述べます。
黄河流量の低下で河口の渤海への河川水供給減少し、それが河口域の物理的、生化学的環境の変化要因になっていて、実際にどの様な影響があったかを研究しました。ただ、それらは、黄河からの直接流入だけを考えていて、広いデルタ地帯から地下を経由して海底から流出する地下水は考慮していませんでした。このプロジェクトでは、海洋観測と同じ時期に地下水グループも観測を行っています。海底地下水の湧出量は、地形と陸地下の地下水水頭圧から推定する方法、海底に流量計を設置して直接推定する方法、ラドン同位体を使って推定する方法(B教授の方法)など、いくつかあります。私は、海洋観測データを使って、水・塩・物質収支から地下水量を推定する手法を構築しました。結果として、他の手法による推定結果と同じような値を得ることが出来ました。海洋観測データを使うメリットは、海洋環境を同時に解析できる点にあります。ゆくゆくは、地下水を生態系モデルに取り込みたいと思っています。ここで発表した内容は論文にまとめました。このシンポジウムでは、論文を集めて本に仕立て、私の論文もこの本ので公表済みです。

さて解説が長くなりましたが、その時の様子です。
黄河プロジェクトの親玉、F教授です。定年退職されて、現在は鳥取環境大学で研究を続けておられます。このプロジェクトを総括した書籍を何冊か出版されましたが、一般向けに、ドラマティックに?書かれた本が、毎日文化賞を受賞されました。フロリダに来ていなかったら、授賞祝賀会に行けたかも。あんな大きな賞の授賞式や祝賀会なんて、私には縁はなさそうなので、ちょっと残念。
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黄河断流―中国巨大河川をめぐる水と環境問題 (地球研叢書)

黄河断流―中国巨大河川をめぐる水と環境問題 (地球研叢書)

  • 作者: 福嶌 義宏
  • 出版社/メーカー: 昭和堂
  • 発売日: 2008/01
  • メディア: 単行本



中国側の親玉?はC教授。日本語が達者で、ユーモアがあって、もちろん知識が豊富で、見た目の線は細いですが、大物です。
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そしてアメリカから参加、海底地下水界の親玉?FSUのB教授です。基調講演、ご自分の研究発表、懇親会でのスピーチと大忙し。
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懇親会の様子です。左の方に、B教授と共に来日した奥様、そして博士課程の院生Rくんがいます。奥様はハワイの日系三世で、血は完全なる日本人。私が必死で訳したお好み焼きレシピを、たいそう喜んで下さいました。Rくんは春学期で博士を修了・取得しますが、すでに米国の他大学で任期付き教員の席を確保。この来日の時は、飛行機が丸一日遅れるは、風邪をひくわで大変だった様です。
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HC08が終わって、神戸に立ち寄った後、札幌での日本陸水学会に出席しました。
私は学会員ではありませんが、陸と海の接点をテーマにシンポジウムが開催され、このブログで登場済みの広島大学O准教授からお誘いを頂きました。地球研の黄河プロジェクトと入れ替わるように、地球研でTさんが親玉となって地下環境のプロジェクトが走り出しました。ここで何度も紹介している御前浜観測はその一環です。
このプロジェクトでの私の研究は、先に紹介した地下水推定手法を、より高時間解像度のあるモデルに改良することで、フロリダでの後半の研究課題でもあります。先に構築したモデルは、広い海域に対する数ヶ月程度の平均場を想定したモデルです。これに対して御前浜沖程度の数キロ程度の空間で、潮位変動に伴う環境変化を解析するには、その時空間スケールにあったモデルを考える必要があります。このシンポジウムの後、参加者に学会誌への投稿が呼びかけられ、フロリダに帰ってから必死で書き上げました[あせあせ(飛び散る汗)] 現在、査読に対して修正稿を提出し、結果待ちです。

またまた説明が長くなりましたが、その時の様子は・・・写真撮っていません! 人の発表のスライドやポスターばかり撮していました。
最近は学会に行くと、これは!と思う発表をデジカメに納め、勉強させてもらっています。どの写真が、どの発表だったか、分からなくなることもありますけどね。
脱線しましたが・・・ここで見せても問題なさそうなのは・・・他人さんの研究結果を、勝手に世界に公開するわけにはいきませんが、これは御前浜での地下水観測を説明したスライドなので、大丈夫でしょう。
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と、こうして私の日本出張は終わり、フロリダ生活後半に突入したのでした。

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